なべよこ観察隊「鍋横物語ー見たい 聞きたい 記録したい」中野区・鍋屋横丁

なべよこ観察隊は、鍋横地域協議会の課題別部会である地域センター部会の中の専門部として活動しています。メンバーの多くは青少年の育成活動、町会、PTAなどの地域活動を通して、この活動に興味をもった人たちです。日常の生活の中で、目についた地域の様子、興味を感じたまちの様子をそれぞれ出し合い、実際にまちを歩いて観察しました。

第2章【10】(3)夜鳥

1,631平方メートの敷地にあった大小3つの池

1,631平方メートの敷地にあった大小3つの池

 作家伊藤整(1905年~1969年)は、昭和5年に中野町新町3838(本町6丁目)で新婚生活を始め、昭和9年千代田町38(本町5丁目)に転居しました。

 「夜鳥」は昭和11年2月に執筆された随筆で、当時の千代田町(本町5 -40番)にあった釣堀のあたりの風景が書かれています。

 「近所に釣堀があって、その西側は茅原でじくじくした沼地であり、更にそのまわりはずっと原っぱになって遠くには川があった。

 原っぱには道が縦横についていた。夜11時頃になるとその釣堀の上あたりの低い空で、げい、という夜鳥の啼き声がした。

 ・・・青鷹か何かだという話であるが、首のあたりに毛の抜けた首の長い鳥らしいだみ声で、釣堀の魚を食いに来るのかとも思われたがが、水音はせず、声はいつも空のかなり低い処でするだけであった」