第4章【1】(10)オドヲン座を語る
映画が庶民の楽しみのひとつだった時代、鍋横には3つの映画館がありました。昭和54年に閉館たオデヲン座には色々な思い出があります。
- (木口 弘・談)妻との初デートはオデヲン座で洋画を観て、東京パンのパーラーでお茶を飲みました。当時としては一番洒落たコースでした。
- (高野允雄・談)「下町の太陽」で爆発的な人気がでた女優、倍賞千恵子が隣の美容室で着付けをして舞台挨拶に来たことがありました。また、夏にナイトショウの先駆け館として、上映時間が延長されました。
- (清水ヒサエ・談)映画が好きだったので、子どもを寝かしつけてよく観に行きました。印象に残っているのは、「戦争と平和」や山口百恵の「霧の旗」などです。ある時、子猫程もある大ネズミがスクリーンの下を縦横に走っていて、びっくりしたこともあります。
- (成瀬 光・談)雪のシーンを観ていたら、天井が割れて本物の雪が降ってきて驚きました。建物が老朽化していたのでしょう。また、館内も空いていて休憩時間以外にトイレに行くのも怖かったです。