なべよこ観察隊「鍋横物語ー見たい 聞きたい 記録したい」中野区・鍋屋横丁

なべよこ観察隊は、鍋横地域協議会の課題別部会である地域センター部会の中の専門部として活動しています。メンバーの多くは青少年の育成活動、町会、PTAなどの地域活動を通して、この活動に興味をもった人たちです。日常の生活の中で、目についた地域の様子、興味を感じたまちの様子をそれぞれ出し合い、実際にまちを歩いて観察しました。

第2章【7】(2)お米屋さん 語り部:深沢平八(大正9年生)

語り部:深沢平八(大正9年生)

語り部:深沢平八(大正9年生)

 私の両親は中央3丁目あたりで、さつまいもなどの卸商をしていました。田無や小金井方面の農家の方が人力車や牛車でさつまいもを運んできていたようです。当時は焼きいもや大学いもが庶民  の一般的なおやつでしたが、大正時代になって安いパンやケーキなどにおされて、商売が振るわなくなり、杉山公園のとなり(現ガソリンスタンド)で米穀商を始めました。

 年老いた父に代わり、兄が後を継いでいましたが、まもなく戦争で召集されてしまい、私かその後を継ぎました。しかし私も召集となったため、店舗は米、いも類、乾燥野菜などの配給所として利用してもらいました。

通帳

通帳

 当時は、米穀通帳がないと米が買えませんでした。これは身分証明書の代わりにもなるほど、重要なものでした。

※米穀通帳
 第二次世界大戦中の食糧不足時代に農林省が発行した米穀類購入帳。登録小売業者に提示して世帯人員分の配給を受けられる。

 1970年以降、事実上廃止されているが、身分証明書などのためにも使われた。(講談社大百科事典より)