なべよこ観察隊「鍋横物語ー見たい 聞きたい 記録したい」中野区・鍋屋横丁

なべよこ観察隊は、鍋横地域協議会の課題別部会である地域センター部会の中の専門部として活動しています。メンバーの多くは青少年の育成活動、町会、PTAなどの地域活動を通して、この活動に興味をもった人たちです。日常の生活の中で、目についた地域の様子、興味を感じたまちの様子をそれぞれ出し合い、実際にまちを歩いて観察しました。

第4章【1】(6)「ジュー」ソースにつけた串カツの音 語り部:上島昌之(大正14年生)

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語り部:上島昌之(大正14年生)

 昭和10年頃のことですかね。鍋横の思い出はなんと言っても夜店ですね。毎週土曜日、日曜日と鍋横交差点を中心に特に北側の歩道にたくさんの店が並ぶんです。慈眼寺から追分通りの入り口付近まででしたが、子どもの頃にはずいぶん長い距離に思えました。

 夜店の明かりも電灯ではなく、カーバイトを燃やしたものでガスの臭いがくさかったのを覚えています。食べ物を売るお店が多く、いつも一銭持って行けば楽しめましたね。1銭でだいたいアメ玉2個くらい買えました。特に串カツの揚げたてを壺のソースに入れた時の「ジュー」という音とソースの香ばしい香りは今でも懐かしく頭に残っています。でも、1本の値段が2銭位で自分の小遣いでは買えなくて、親と一緒の時は買ってもらえるので、それが食べられるという喜びがありました。

 「コリントゲーム」というパチンコと似たゲームもよくやりました。玉を入れ、ゴムを弾いて目標に当たると飴や菓子がもらえるのです。そんな楽しみだった夜店も戦争が激しくなり灯火管制のためか開かれなくなりました。