なべよこ観察隊「鍋横物語ー見たい 聞きたい 記録したい」中野区・鍋屋横丁

なべよこ観察隊は、鍋横地域協議会の課題別部会である地域センター部会の中の専門部として活動しています。メンバーの多くは青少年の育成活動、町会、PTAなどの地域活動を通して、この活動に興味をもった人たちです。日常の生活の中で、目についた地域の様子、興味を感じたまちの様子をそれぞれ出し合い、実際にまちを歩いて観察しました。

第2章【4】(2)十貫坂の地名が本の中に登場

十貫坂の地名が本の中に登場

十貫坂の地名が本の中に登場

■ 丸谷才一著「低空飛行」の中に『ぼくの仕事部屋から首を出すと、ちょうど真下に中野十貫坂というゆるやかな坂が見える』とあり、氏は昭和42年頃から数年、十貫坂に面したマンションに住んでいたということです。また、「男のポケット」には十貫坂近くの豆腐屋の話が書かれています。

■ 吉川英治著「宮本武蔵」の中に『甲州口立場柏木村から野へ這入はいったのである。十二所権現の丘から十貫坂とよぶ薮坂を下りてからは、ほとんど、歩いても歩いても、同じような野であった。夏草の波のなかに、消え消えになる細い道であった。』とあります。

 

※十二所権現

 新宿十二社にある熊野神社のことで、室町時代に中野長者と呼ばれた鈴木九郎が故郷の紀州熊野三山より十二所権現を移し祀ったものと伝えられています。境内には「堀之内妙法寺記」を書いた太田南畝なんぽ(蜀山人)の書が刻まれた水鉢があります。

 鈴木九郎は十貫坂の由来にも名前が出て来る、成願寺(本町2‐26)の開祖です。