なべよこ観察隊「鍋横物語ー見たい 聞きたい 記録したい」中野区・鍋屋横丁

なべよこ観察隊は、鍋横地域協議会の課題別部会である地域センター部会の中の専門部として活動しています。メンバーの多くは青少年の育成活動、町会、PTAなどの地域活動を通して、この活動に興味をもった人たちです。日常の生活の中で、目についた地域の様子、興味を感じたまちの様子をそれぞれ出し合い、実際にまちを歩いて観察しました。

第2章【5】(1)神田川はふるさと 語り部:清水吉右ヱ門(大正5年生)

語り部:清水吉右ヱ門(大正5年生)

語り部:清水吉右ヱ門(大正5年生)

 私は生まれてから現在の地に暮らしています。子どものころは学校から帰るとカバンを放りだして、木登りやベーゴマをしたり、神田川で泳いだりと、今のようにたくさん遊び道具があったわけではありませんが退屈はしませんでしたね。

 その当時の神田川は、春になると土手のまわりは一面のレンゲが咲き乱れ、本当に今では考えられないほど自然が残っていました。ビンドという魚捕りの道具をつかえばフナやナマズがたくさん捕れたし、本郷小学校の校章にもなっているように、夏にはホタルがいましたよ。それぐらい水がきれいな川でした。

 川のそばには染め物屋があって、染めた布を川の水を利用して洗ったりしてましたね。近くで採れた野菜の土を落としたりと生活に密着した川でした。

 私か町会長をしていた昭和57年に神田川が氾濫したときは、ちょうど祭りの時期でしたがそれどころではなくてね。リヤカーを引いて走り回ったりして大変な思いをしましたよ。

 コンクリートで固められて、すっかり姿は変わってしまいましたが、やっぱり私にとって神田川は「ふるさと」ですね。